薬と健康情報通信

   第131回 A型肝炎                       2015.9

  

    A型肝炎は、肝炎を起こすウイルス(A型肝炎ウイルス)に感染すること
   で発症するウイルス性肝炎の一つです。多くは一過性の急性肝炎症状で終
   わり、B型肝炎やC型肝炎とは違い、慢性化することはほとんどありませ
   ん。A型肝炎ウイルスは、ウイルス性食中毒の原因ウイルスの一つでもあ
   ります。ウイルスは、感染者の糞便中に排泄され、糞口感染で伝播するの
   で、衛生環境に影響されやすく、日本を含む先進諸国では、上下水道など
   の整備に伴い、大規模な集団発生は稀になりましたが、海外渡航者の感染
   事例がたびたび報告されています。


    原因は?

    ウイルスに汚染された水や食品を摂取することにより感染したり、ウイ
   ルスが付着した手で口に触れることにより感染します。これまで、国内
   で発生した事例の大部分は感染源が特定されていませんが、井戸水や牡
   蠣などの二枚貝が感染源として推定されている事例があります。

    最近では、国内での感染者の減少に伴いA型肝炎に対する抗体を持って
   いる人の割合が減少してきています。特に若い人の抗体保持者は少なく、
   そのような人が衛生状態の悪い国において感染、もしくは輸入食品で感染
   する事例が報告されています。また、性的接触により感染する(性感染症)
   場合もあります。


    症状は?

    潜伏期間は2〜6週間(平均4週間)と長く、38℃以上の発熱、全身倦
   怠感、食欲不振、おう吐、頭痛、筋肉痛、腹痛などの症状に続き、黄疸
   が出現します。茶褐色の尿や、白い便が出る場合もあります。

    乳幼児は感染しても、ほとんど症状がないか軽症の場合がほとんどです
   が、免疫を持たない中高年齢者が感染し発症すると、重症化する傾向があ
   るため注意が必要です。大部分は1〜2ヶ月で肝機能が回復し、一度感染
   すると免疫ができ、その後感染することはありません。


    感染予防のポイント

   @十分に加熱調理された飲食物を摂取しましょう。
   A用便後、調理・食事前に十分な手洗いをしましょう。
   BA型肝炎の流行地(南アジア・東南アジア・アフリカ・中南米等)へ渡航す
    る場合は、生水、生野菜などの非加熱食品の飲食を避けましょう。
   Cワクチン接種による予防も可能です。