

咳や痰が2週間以上続いていませんか?
風邪をひくことが多くなる季節ですが、風邪と間違えやすい病気の一つ
に「結核」があります。とくに咳や痰がいつまでも続く場合は要注意です。
結核は、「結核菌」という細菌によって起こる感染症です。大正、昭和の前
半までは結核死亡が日本の死因の第1位でした。その後、徐々に減少して
きましたが、1990年半ばには増加に転じ、その後も減少の兆しは見えま
せん。現在、患者さんの約65%は60歳以上の高齢層ですが、20〜59歳
の働き盛りの年代も約35%を占め、決して少なくありません。結核は、
咳やくしゃみによって空気感染する伝染性の高い感染症のため、安易に考
えず、まずは結核について知っておくことが大切です。
感染すると必ず結核になるの?
感染しても必ず結核になる(発病する)とは限らず、発病するのは10人に
1〜2人位と言われています。発病する人の約50%は6ヵ月〜1年の間に、
約80%は2年以内に発病します。また、その後の発病の危険性はゼロにな
ることはなく、長期間経過してから、免疫力が落ちて発病することもあり
ます。特に糖尿病を持っている人や人工透析をしている人のほか、免疫抑
制剤(ステロイド剤など)による治療をしている人も免疫力が落ちて発病しや
すくなるため注意が必要です。
症状は?
最も多くみられるのが、肺への感染(肺結核)ですが、腎臓、リンパ節、骨、
関節等にも感染します。肺結核の初期の症状は風邪と似ていますが、咳、痰、
発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴です。また、体重が減る、食欲が
ない、寝汗をかく、などの症状もあります。さらにひどくなると、だるさや
息切れ、血の混じった痰などが出始め、喀血(血を吐くこと)や呼吸困難に陥
って死に至ることもあります。
予防方法は?
結核の重症化を防ぐBCGというワクチンがあります。BCGは特に子供
の結核予防に有効で、世界で広く用いられています。乳幼児期の重症結核を
早期に予防するため、生後5ヵ月から8ヵ月の期間に接種をしましょう。
結核は、家庭や学校、会社など規模の大小に関わらず、常に感染の危険性
があります。2週間以上咳や痰が続く場合は早めに病院を受診しましょう。
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