第96回  脳卒中                             2012.10 


  脳卒中は、長い間日本人の死因のトップであり、治療の進歩した現在でも、
  がん・心臓病とともに3大死因のひとつです。脳卒中は、何の前触れもな
  く起こることが多いといわれています。しかし発作が起こるずいぶん前か
  ら、脳の血管は少しずつ痛めつけられているのです。発症には、高血圧や
  脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病が密接に関わっています。

   脳卒中のタイプ
  
  ■脳出血
  高血圧が長期間続くことによって、血管がもろくなり破れて出血し、神経
  細胞が死んでしまう状態です。
 
  ■くも膜下出血
  脳を覆っている3層の膜(内側から、軟膜・くも膜・硬膜)のうち、くも膜
  と軟膜の間にある動脈瘤が破れ、膜と膜の間にあふれた血液が脳全体を圧
  迫します。脳卒中の中でもっとも死亡率が高い、恐ろしい病気です。

  ■脳梗塞
  脳の血管が詰まり、血流がこなくなった脳細胞が死んでしまう状態です。

 【アテローム血栓性脳梗塞】
  コレステロール等によってできた沈着物が原因で血管の内腔が狭くなり、
  そこに血栓ができて詰まります。

 【ラクナ梗塞】
  主に脳の深部にある細い血管が詰まり、その先の脳細胞が壊死します。
 
 【心原性脳塞栓症】
  不整脈や心筋梗塞等があると、心臓に血栓ができやすくなります。その
  血栓がはがれて流れ、脳内の血管を詰まらせます。

 
   脳卒中の前兆

  よく見られる症状は、次の通りです。
   片方の手足や顔半分が麻痺する   片目だけ見えなくなる
   物が2つに見える         ろれつがまわらない
   頭痛や吐き気がある        意識を失う(重症の場合)
   急に手足に力が入らなくなり箸やペンを落としてしまう
   ハンマーで殴られたような激しい頭痛がする(くも膜下出血の場合)

  ※脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」を見逃すな!
  一時的に脳の血管が詰まる状態で、24時間以内に回復します。TIAを経
  験した人の2〜3割は、近い将来、脳梗塞を発症するといわれています。

  発作が起こってから治療開始までの時間は、早ければ早いほど良いです。
  前兆を見逃したり放置せずに、専門医を受診して適切な治療を始めましょう。



   日本脳卒中協会では、脳卒中の予防と知識を広めることを目的に、心が
   けたいポイントを、川柳調で覚えやすい10か条にまとめています。

  脳卒中予防10か条

  1、手始めに 高血圧から 治しましょう
  高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。血圧が高くなると、脳の血管に大
  きな負担がかかるようになります。高血圧の治療は、脳卒中の最大の予防
  策となります。

  2、糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  糖尿病を放置しておくと、血管に大きなダメージを与え、動脈硬化が進行
  します。

  3、不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  不整脈は、心臓の拍動が早くなったり遅くなったりして不規則になる病気
  です。とくに心房細動は心原性脳塞栓症の大きな原因で、重症化しやすい
  ので注意が必要です。

  4、予防には タバコを止める 意志を持て
  喫煙は、動脈硬化を促進して、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。

  5、アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  大量の飲酒は高カロリーとなり、生活習慣を乱す原因となります。

  6、高すぎる コレステロールも 見逃すな
  血中の悪玉コレステロールや中性脂肪などが多くなると、動脈硬化が促進
  され、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。

  7、お食事の 塩分・脂肪 控えめに
  高血圧予防の為には、食事を見直して塩分や脂肪分の制限が必要になります。
  塩分は1日10g(高血圧の方は6g)が目安です。

  8、体力に 合った運動 続けよう
  運動不足は、脳卒中のリスクを高めます。無理なく毎日続けられる運動に
  取り組みましょう。

  9、万病の 引き金になる 太りすぎ
  男性では腹部内臓肥満、女性では肥満そのものが生活習慣病の危険因子と
  なります。

  10、脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
  脳卒中による脳のダメージを早くくい止めるには、時間との戦いになりま
  す。気になる症状があらわれたら、すぐに救急車を呼んで治療を始めなけ
  ればなりません。予後や後遺症にも関係してきます。