第97回  狭心症                   2012.11


  「狭心症」―耳にしたことはあるけれど、どんな病気か詳しく知っている
  人は少ないかもしれません。狭心症は心臓病の一つで、心臓に血液を送る
  血管が狭くなり、心筋に血液が十分供給されない為、一時的に心臓の働き
  が滞り、胸痛を伴う発作が起こる病気です。完全に血管が閉塞、または著
  しい狭窄が起こり心筋が壊死してしまった場合には心筋梗塞といいます。
  発症には高血圧や高脂血症などが密接に関わっているため、生活習慣の改
  善が予防につながります。


  狭心症の原因は?

  
  
原因その1【動脈硬化】血液中に流れているコレステロール等の物質
  は、血管内腔の傷などから血管壁の中に入り込むことがあります。それが
  だんだん溜まっていくと内腔が狭くなり、血液の流れを妨げてしまうこと
  になります。これが、「アテローム硬化」とよばれる動脈硬化です。

  
原因その2【冠動脈のれん縮】血管壁の筋肉が痙攣(けいれん)して収
  縮(れん縮)することにより、冠動脈(心臓の表面を流れる動脈)が狭まること
  があります。


  どんな症状が現れるの?

  狭心症では通常、胸痛を伴う発作がみられます。「重苦しい」「圧迫される」
 「締めつけられるような」痛みと表現されます。発作で痛む場所は胸だけと
  は限らず、左肩やのど等が痛んだり、しびれを感じることもあります。
  また、痛みの程度は、冷や汗を伴う強いものから、違和感程度の軽いもの
  まであります。発作は安静にしていると30秒から15分程度で消失します。


  発作のきっかけは?

  運動等で心筋が酸素を多く必要とすると、血流量が追いつかないことから、
  発作のきっかけとなります。日常の行動としては、坂道や階段を上る、急
  ぎ足で歩く、重いものを持つ等です。排便・入浴・喫煙等、血圧を上昇さ
  せるようなことも誘引となります。発作が起こりやすい季節や時間帯も知
  られており、冬の寒い日や午前中に多く起こる傾向があります。また、安
  静にしている時に発作が起こることもあります。このタイプの発作は、起
  床時や就寝時に多く起こることも特徴です。

  
狭心症を放置した場合、心筋梗塞に進行し、取り返しのつかないことに
  なることがあります。「狭心症かな?」と思われる症状があれば、ためら
  わずに病院を受診し、検査を受けて適切な治療を開始することが大切です。
   発作が長く続き、冷や汗や吐き気を伴っている場合は重症発作です。
  直ちに救急車を呼び、病院で治療を受けましょう。


  
狭心症の予防

  狭心症の予防のポイントは、動脈硬化を進行させないこと。つまり動脈硬
  化を促進する危険因子の数々を、日々の生活から取り除いていくことが大
  切です。

  
これらの危険因子に注意!
  
@高血圧
  高血圧により動脈に負担がかかると、血管の壁に傷ができてコレステロー
  ルなどが入り込むため、動脈硬化につながります。また、動脈硬化により、
  血液が流れにくくなると、心臓に大きな力が必要になり、血圧がますます
  上昇します。

  
A高脂血症
  血液中にコレステロールが多いほど、血管壁にも溜まりやすいため、動脈
  硬化が進んでしまいます。総コレステロール値が220mg/dL以上の場合
  は、要注意です。

 
 B糖尿病・肥満
  肥満は生活習慣病のもとになることが多く、糖尿病は血管に障害をもたらし、
  動脈硬化を促進させます。

  
C喫煙
  タバコを吸うと、血圧が上昇します。また、タバコに含まれるいろいろな成
  分が血管を収縮させ、動脈硬化を進行させます。

  
Dストレス・過労・運動不足
  精神的・肉体的ストレスや過労は、血圧やコレステロール値の上昇につなが
  ります。また運動不足は、肥満や代謝の乱れの原因になります。


  
危険因子が一つでも当てはまる方は生活習慣の見直しを!
  
@食事のポイント
  ・食塩は血圧を上昇させます。食塩の摂取量は、1日6g未満に抑えましょう。
  ・コレステロールの多い食品は控えめにしましょう。
  ・食物繊維の多い食品やコレステロールを下げる作用のある不飽和脂肪酸の
   多い食品(まぐろ・さば・いわし等)を積極的に摂りましょう。

  
A無理のない適切な運動をしましょう!
  ウォーキング等、ゆっくり呼吸しながら続けることのできる有酸素運動を始
  めましょう。ただし、心臓や腎臓に持病がある人、重度の高血圧の人は運動
  を行う前に必ず医師に相談しましょう。

  
Bタバコはやめましょう!


  
発作を防ぐために…入浴や排便時の急激な血圧の上昇を避けましょう!
  入浴で危険なのは浴室と浴槽の温度差です。冬の冷えた脱衣所や浴室は血圧
  を上昇させ、さらに浴槽の熱いお湯が一段と血圧を上げるために心臓に大き
  な負担がかかります。脱衣所や浴室は暖めておき、浴槽のお湯の温度は少し
  ぬるめの40℃にしましょう。同じ理由で、冬の寒い時期のトイレで発作を
  起こすことがあります。トイレへ行く時は暖かいものを羽織って身体を冷や
  さないようにしたり、便座の保温器を取り付けるなどしてトイレを暖かくし
  ましょう。また、排便時にいきみすぎると血圧や心拍数が上昇して心臓に負
  担がかかるので注意が必要です。