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第123回 お屠蘇(おとそ)
2015.1


年の初めにお酒を飲んで、うきうきとした正月の気分を表す言葉に、「お屠蘇気分」という言葉があるように、日本には、元旦の朝、家族一同が揃ってお屠蘇を飲む風習があります。年々、正月らしさが失われていく現在、家族の健康と精神的な絆を保つうえで是非伝えていきたい行事の一つです。


お屠蘇とは?


一年間の邪気を祓い長寿を願って正月に飲む薬草酒のことです。「屠蘇散(とそさん)」という漢方の生薬(しょうやく)をミックスしたものを、日本酒や本みりんに漬け込んで作ります。「屠蘇散」は正式には「屠蘇延命散(とそえんめいさん)」と言います。「屠蘇」という言葉には、「邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇らせる」という意味があり、悪鬼・疫病を治し、邪気・毒気を祓うとされて、「一人でこれを飲めば一家に疫なく、一家でこれを飲めば一里に疫なし、元旦にこれを飲めば一年間病気にかからない」と信じられてきました。


屠蘇散の中身は?


いわゆる漢方薬に使われる生薬です。市販されている屠蘇散には、一般的に5〜6種類、多くて10種類の生薬が配合されています。

白朮(びゃくじゅつ):キク科オケラまたはオオバナオケラの根  
山椒(さんしょう):サンショウの実
桔梗(ききょう):キキョウの根
肉桂(にっけい):ニッケイの樹皮、ニッキ、シナモン
防風(ぼうふう):セリ科ボウフウの根)
陳皮(ちんぴ)(ミカンの皮)

これらは生薬的に、胃腸の働きを盛んにし、血行を良くし、風邪を引きにくくする効能がありますが、お屠蘇として食用の範囲で飲む場合に医療効果はありません。


●自分でできる予防


 元旦の朝、若水(わかみず)(元旦の早朝に汲んだ水)で身を清め、初日や神棚、仏壇などを拝んだ後、家族全員が揃って新年の挨拶をし、雑煮の前にお屠蘇を飲みます。その時使用される器は、朱塗りまたは白銀や錫などのお銚子と朱塗りの三段重ねの盃です。

 飲む順序は、一年の無病息災と延命長寿を願うところから、若者の活発な生気にあやかる意味で年少者より順次年長者へと盃をすすめるのが決まりです。また、正月三が日の間の来客者に対しても、まず、初献にお屠蘇をすすめて新年のお祝いの挨拶を交わすのが礼儀です。

 正月の料理を食べ過ぎたり、お酒を飲み過ぎた時には、屠蘇散を服用しても良いでしょう。お酒に漬けて飲むのもいいですが、お酒を加えたお湯で煎じて服用するのも良いでしょう。持病がある方は摂取量に注意して下さい。