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第125回 乳児ボツリヌス症
2015.3


「1歳未満の乳児にハチミツを与えてはダメ!」という話を聞いたことはありますか?ハチミツは子供にも馴染み深い食材ですが、完全殺菌の処理なしに私達の口に入ります。その中には「ボツリヌス菌」という細菌が潜んでいることがあります。「乳児ボツリヌス症」は、このボツリヌス菌の芽胞(がほう)を摂取することで発症します。


大人のボツリヌス症との違い


 通常のボツリヌス症は、ボツリヌス菌が作り出す毒素(ボツリヌス毒素)を摂取することで起こる食中毒です。ハムやソーセージなどの食肉加工品や、缶詰やレトルト食品などが原因となってのボツリヌス食中毒が多いです。

 乳児ボツリヌス症は、ボツリヌス毒素の摂取ではなく、ボツリヌス菌の芽胞を摂取することで起こるものです。ボツリヌス菌の芽胞の状態では毒性はありませんが、乳児の体内に入ると発芽して毒素を作り、症状を引き起こします。乳児はまだ腸が未発達で長さも短いために中毒症状を起こすとされています。


乳児への感染経路


 乳児への感染経路のほとんどが、ハチミツを食べたことによるものです。ボツリヌス菌はもともと土の中にいるのですが、土に生えた花に菌がつき、その花粉をミツバチが運ぶことでハチミツの中に菌が入ります。

 ボツリヌス菌とボツリヌス毒素自体は、十分に加熱することで無毒化できますが、芽胞の状態のボツリヌス菌は非常に熱に強く、一般的な加熱殺菌処理ではほとんど影響なくそのまま残ってしまいます。よって、生のハチミツはもちろん、加熱殺菌をしたハチミツであっても、ボツリヌス菌の芽胞はそのまま乳児の体内に入り、その後発芽して毒素を作ってしまいます。


●症状は?


 ボツリヌス毒素は、神経を麻痺させる作用を持ちます。乳児に現れる主な症状として、便秘、元気がない、哺乳力が弱い、泣き声が弱い、よだれが多い、首のすわりが悪くなったなどがあります。ハチミツを食べてから症状が出始めるまでは、3日から30日程度と幅があります。症状は数日かかって徐々に出てくることもあれば、急激に出てくることもあります。最終的には全身の麻痺が起こり、症状が強い時は呼吸が悪くなることもあります。

 乳児の体は機能が未発達であり、大人にとっては何の影響もないであろうことでも、病気の原因になりかねません。1歳まではハチミツを舐めさせたり、薬を飲ませる時に混ぜたりすることは避けましょう。