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第127回 虫垂炎(ちゅうすいえん)
2015.5


虫垂炎(ちゅうすいえん)は、虫垂に化膿性の炎症が起こる病気です。虫垂は、盲腸(もうちょう)(右下腹部の小腸から大腸につながった下の部分)の先に突き出た5〜10cm程の先端が閉じた突起物です。一般には「盲腸」あるいは「盲腸炎」という通称で知られていますが、これは昔、虫垂炎の発見が遅れ、炎症が盲腸まで広がった状態で発見されたケースが多かったためです。


症状は?


 主な症状は、腹痛、食欲不振、37〜38℃の発熱、吐き気、嘔吐です。典型的な経過としては、上腹部やへその周りが突然痛み出し、次に発熱、吐き気や嘔吐、食欲不振が起こります。数時間もすると吐き気は止まり、数時間から24時間以内に痛みが右下腹部に移ってきます。この部分を押して離した時に痛みがひどくなります。ただ、このような典型的な症状を示すことは決して多くなく、半数程度に過ぎません。特に乳幼児や高齢者は病状の割に症状が弱いことが多く、治療が遅れる原因になります。


原因は?


 糞便(糞石)や異物、リンパ組織の過形成、まれには腫瘍などで虫垂の入口が塞がったり、狭くなることがきっかけになると考えられています。これにより、虫垂の内圧が上昇して血行が悪くなり、そこに細菌が進入して感染を起こし、急性の炎症が起こると考えられています。


●放置すると・・・


 虫垂が破裂し、細菌を含んだ腸の内容物が腹腔内へ漏出して膿瘍(のうよう)(感染による膿がたまったもの)を形成したり、腹膜炎を起こして命取りになることがあります。また、細菌が血流に乗って全身に広がると敗血症になり、命を脅かすこともあります。


治療法は?


 かつては、虫垂炎と診断されれば、すべて手術していました。しかし、最近は薬物療法が進歩し、抗生物質による内科的治療で治るようになっています。よく「虫垂炎をちらす」という言い方をしますが、これは薬剤で炎症を緩和することを指します。ただし、病状が進行していたり、虫垂が破裂していた場合などは、緊急手術が必要です。

 虫垂炎は自然に良くなることはなく、放っておくと命にかかわります。典型的な症状が出ていなくても、虫垂炎を疑った場合は、早く医師の診察を受けることが大切です。